ボクシング世界バンタム級前4団体統一王者の「モンスター」井上尚弥選手が、5月7日、2023年7月25日(火)、WBC・WBOスーパーバンタム級統一王者スティーブン・フルトン選手(米)に挑戦、4階級目の世界制覇を狙います。
大注目のメガマッチですが、ところでフルトン王者といえば首あたりまで届きそうな長ーいアゴ髭がトレードマーク。これについて日本の一部ファンから「パンチの威力が減ってずるい」との声が上がり、ちょっとした議論になっています。一体ボクシングに「髭ルール」ってあるのでしょうか?現状や過去の事例などを調べてみました。
◆ボクシング◆ 2024年12月24日(火) 井上 尚弥 vs サム・グッドマン 他 他開催場所:有明アリーナ |
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フルトンの髭ずるい?なぜかコメント多め
新たな階級でさらなる偉業に挑む井上尚弥選手。いきなりその第一歩で、2団体王者フルトン選手という相当な強敵相手に拳を交えます。無敗同士のこの頂上決戦、必見ですね。
ところで黒人のフルトン王者は長いアゴ髭が特徴。この髭について、最近日本のファンから「ずるい」「反則じゃないか」といったコメントがネットを賑わせています。
Yahoo!知恵袋からいくつか拾ってみると「フルトン、アゴ髭の量エグすぎないか」「パンチの威力減じさせるためか知らんけど、反則にできんのか」「顎の正確な位置も把握しにくいと思います」「さすがにあの長さは反則じゃないんですかね」…などなどです。
Can’t wait to return pic.twitter.com/vqcCJBuNUB
— 100 Billion (@coolboysteph) March 6, 2023
髭に関するボクシングの既定
「井上尚弥vsフルトン」戦でにわかに沸騰している「フルトンのアゴ髭ずるい」問題。そもそもボクシング界での髭に関するルールはどうなっているのでしょうか。
日本でプロボクシングを統括するJBCの「日本ボクシングコミッションルール」では「第95条(欠格事由)」として、次のように定めてられています。
・次の各号に該当するボクサーは試合に出場することができない。①試合進行の妨げとなるおそれのある髪型(長髪、ヒゲ等を含む)の者(以下略)。
理由は書かれていませんが、関係者によると「アゴ髭が長いと接近戦の際に相手の肌に触れて不快感がある」「ワセリンなどが付着して、それが相手の目や口に入るなど危険」といった問題があるとされます。
この点、アマチュアボクシングではこれまで明確に公式試合での髭は禁止されていましたが、男性の髭が必須な複数の宗教団体からの強い要望を受け、国際ボクシング協会は最近「首まで覆わない10cm以内ならOK」と条件つきで許可しました。
髭に関するボクシングの過去の事例
ファンから浮上する「フルトンの髭ずるい」問題ですが、前述のJBCルールのように、プロボクシング界では髭に関するルールがかなり曖昧でもあります。
結局は試合前に両陣営が話し合ったり、各公式戦を管理・裁定するスーパーバイザーの判断に従ったりするケースが多いようです。過去に「アゴ髭」が問題にされた事例を一部挙げてみましょう。
Undisputed next ? pic.twitter.com/Qm5vyiVZv1
— 100 Billion (@coolboysteph) June 6, 2022
「フューリーvsチゾラ」直前に剃り上げる
ヘビー級世界王者のフューリー選手も豊かなアゴ髭が印象的ですが、14年に行われたチゾラ戦で、前日計量時点では髪も髭も伸び放題のモジャモジャだったフューリー選手が、試合当日には一変。髪も髭もきれいに剃り上げ、ツルツルのスキンヘッド状態でリングに上がりました。
https://twitter.com/IFLTV/statuses/1634292166414532608
亀田和毅がボーボー髭相手に抗議
18年、WBCスーパーバンタム級暫定王座戦に臨んだ亀田和毅選手。試合前、アゴ髭ボーボーな相手のメディナ選手について亀田陣営が「危ない」と抗議。メディナ陣営は過去の試合写真などを示して「問題ない」と主張したものの、結局試合までに多少切りそろえることで合意したそうです。
ネリに山中は「むしろ目印になる」
17年のWBCバンタム級世界戦。王者山中慎介選手は、相手のネリ選手の濃いアゴ髭について、問題にするどころか「むしろくっきりして目印になり、狙いやすいよね」とユーモアで笑い飛ばしました。
これを聞いて髭をそられると的が消えると心配したメディアが、ネリ選手に聞いたところ「別にこのままでいくよ」と答えたとか。
Estoy listo para volver a ser campeón mundial WBC: Luis Nery https://t.co/Nlyvj0WxO7 vía @@ElDiaOficialMx pic.twitter.com/j8ed2whDSf
— Periódico El Día (@ElDiaOficialMx) March 1, 2023
フルトンの髭はイスラム教のため
そもそも、フルトン王者はじめ外国人選手にアゴ髭ボクサーが多いのはなぜなのでしょうか。「髭をクッションにしてパンチを和らげる」〝ずるい〟理由なのでしょうか。
「相手を威圧」「ワイルド感出したい」といった意味合いもありますが、特に黒人選手などでは宗教上の理由で髭を生やすボクサーも多いとみられます。
イスラム教の一部宗派などでは、男性は髭を長く生やし放題にするのが決まり。髭こそが一人前の成人男性の証しとされ、原理主義的な国家では髭を剃ると処罰されるケースもあるといいます。
陣営やスーパーバイザーが問題視するか
旧来、人間の髪や髭、体毛は「体の大事な部分を守るためにある」と俗に言われますが「ほとんどの人がムダ毛処理する」「女性に髭は基本ない」「年をとると薄くなる」といった矛盾もあり、生える理由はよく分かってないといいます。
ボクシングのパンチは、厚いグローブをはめてもかなりの衝撃があり、最悪失神する場合も。多少の髪や髭程度では到底守れるはずはなく「ずるい」とは穿ち過ぎかもしれません。
実際の試合では目などに毛が入る危険性の方が現実的で、「井上vsフルトン」戦でフルトン王者のアゴ髭が問題視されるかどうかは、井上陣営及び試合のスーパーバイザーやレフェリーの判断次第となりそうです。
↓MMAではめちゃめちゃロン毛の選手とかもいますが…(笑)。
https://twitter.com/UNEXT_fight/statuses/1625131903568470017
まとめ
要約しますと
- 5・7、Sバンタム2団体統一戦「フルトンvs井上尚弥」決定で「フルトンアゴ髭」がファンの話題に
- 「パンチ威力減る」「ずるい」と批判も。JBCルールでは「試合の妨げにならないならOK」と曖昧
- 生やす理由の多くはイスラム教徒など宗教上の理由か。過去には相手陣営から「危険」と抗議も
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