ボクシングの「世界的モンスター」井上尚弥選手が、今年いよいよスーパーバンタム級で4階級制覇を目指します。海外メディアでは「今春にも井上選手が現WBC・WBO統一世界王者のスティーブン・フルトン選手(米)に挑戦することが決まった」と報じられています。
正式発表が待たれるところですが、もしこの試合が行われるとすると両者のファイトマネーは一体いくらになるのでしょうか?今回はちょっと〝下世話〟ながら、プロとしては極めて大事な「井上&フルトンのファイトマネー事情」を探りました。(出典:Wilipedia、各スポーツメディア)

井上尚弥vsフルトンのファイトマネー
昨年、バンタム級の4団体世界王座統一を果たし、世界でもレアな「アンディスピューテッド王者」の仲間入りをした井上尚弥選手。今年はSバンタム級に上がって4階級制覇と「2階級での4団体王座統一」という前人未到の大偉業に挑みます。
そして年明け早々に飛び込んできたビッグニュースが「井上とフルトンが合意」というこの報道です。もしこの試合が成立すれば、ファンとしては勝敗はむろん、大変気になるのが「ファイトマネーの額」です。メディアではどう報じられているのか、以下に見ていきましょう。

https://twitter.com/dTV_PR/status/1618806001045495811
概要
米専門メディアが報じた「井上vsフルトン」の概要は以下の通りです。
・WBC・WBO世界Sバンタム級王座統一戦「統一王者フルトン vs 元バンタム級4団体統一王者・井上尚弥」がほぼ合意に達した。
・開催時期は今年5月か6月で調整。
・開催地は日本有力。
https://twitter.com/coolboysteph/status/1620913349977411586
推定ファイトマネー
階級を上げていきなりの初戦が何と二団体世界王座統一戦というメガマッチ。さすがは我らがモンスター井上尚弥選手、スケールが違います。
しかし昨年末頃の報道やフルトン選手自身の発言などでは、「フルトンはフェザー級でフィゲロアと王座決定戦を行う」のが既定路線とされていました。このため井上選手は、春頃にもSバンタム初戦として上位世界ランカーと「小手調べ」の1戦を挟んだ後、王座挑戦するとの予想でした。
それが急転直下、いきなりの「井上vsフルトン統一戦」実現ムード。なぜフルトン選手は舵を「vs井上」に切ったのか。その大きな理由はファイトマネーにあったようです。
以下、ボクシング・ビート米国通信員を務める専門記者、三浦勝夫氏の記事(https://news.yahoo.co.jp/byline/miurakatsuo/)から概略を引用させていただきます。
・軽量級のフルトンは米国では中重量級王者ほどの人気・知名度はない。
・日本で井上戦をやれば、フィゲロア戦よりはるかに高額なファイトマネーが見込める。
・「井上vsフルトン」の井上側の実入りは、試合のファイトマネーとPPVの歩合収益を合わせると推定4~5億円。
・統一王者であるフルトンも当然同水準を要求するはず。

直近のファイトマネー
どうやら軽量級では考えられない破格の待遇が、フルトン王者を「vs井上尚弥」に駆り立てた大きな動機の可能性がありそうです。
では二人の直近のファイトマネーはいくらだったのか。それに比べて「井上vsフルトン」がいかにビッグマネーなのか、やはり前出の三浦氏記事からご紹介しましょう。
井上尚弥
・昨年末のバトラー戦翌日の「ボクシングシーン.com」によると、井上の最低保証ファイトマネーは3億円。ここにPPV収益などの報奨金がプラスされる。
・米国の報道では井上の最低保証額は100万ドル(約1億3500万円)。報奨金は150万ドルで合計250万ドル(約3億4000万円)だったという。
・バトラーは総額90万ドル。
https://twitter.com/naotaku_mg/status/1623281835013967875
フルトン
・前戦の昨年6月のダニエル・ローマン防衛戦ファイトマネーは50万ドル(ローマンは30万ドル)との説。
・21年のフィゲロアとの2団体統一戦では、フルトンの最低保証額は50万ドル、報奨金込みで100万ドル。当時WBC王者のフィゲロアは最低保証100万ドル、報奨金込み250万ドルだったという。
https://twitter.com/coolboysteph/status/1617229147750670336
なぜこれほど高いのか?
つまり、井上尚弥選手の場合はバンタム級でも既にファイトマネーが3億円超。その一つ上の階級の統一王者フルトン選手ですから、その防衛戦となれば当然、前回のフィゲロア選手以上、即ち4~5億円を求めるのは当然といえます。
ちなみに三浦氏によると、軽量級の世界的スター、エストラーダ選手とロマゴン選手が21年に行った「2」ではお互いのファイトマネーは100万ドルだったとか。
また過去の軽量級ファイトマネーの最高額は、元フェザー級三団体世界王者で、変幻自在のトリッキーなボクシングで歴史的にも有名なナジーム・ハメド選手(英)の600万ドル(約8億円)だったそうです。
2001年、米ラスベガスで3階級制覇王者バレラ選手(メキシコ)と戦った際の収入で、判定勝ちしたバレラ選手も200万ドルを受け取ったとされます。
https://twitter.com/IFLTV/status/1623275123099811841
井上選手はもはや「ハメドレベル」に近づいているわけですが、なぜこれほど高いのでしょうか。これはやはり日本及び米国での井上選手のネット配信の成功が背景にあると思われます。
昨年、井上選手の試合は地上波TV放送はなく「アマプラ」「dTV」といったネット配信のみ。全米でもESPNなどでライブ配信され、これが成功して大きな放映権料につながった模様。
「井上vsフルトン」を日本で開催すれば、これまで以上の大観衆やサブスク・広告収入は確実なため、トップランク・PBCの両陣営プロモーターも、米国開催よりむしろ巨額のファイトマネーを保証できるという仕組みのようです。

https://twitter.com/Tokky5571/status/1622107644331958274
まとめ
今回の記事をまとめると以下の通りです。
要約すると...
- 5、6月にもSバンタム2団体統一戦「井上尚弥vsスティーブン・フルトン」日本開催か
- ファイトマネーは両選手ともPPV収益込みで4~5億円の説も。軽量級では超破格の額
- バトラー戦で井上3億円超、フルトンは前戦で50万ドル説。日本の方が実入り良し?
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